体験シグナルとは何か

お客様からのリアルタイムのフィードバックがビジネス価値を創出する

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はじめに

従来のアンケート調査は過去を示すもの。体験シグナルは、現在を捉え、未来を変えていきます。

お客様のニーズや期待を理解することは、常に顧客体験管理の中核をなしています。しかし多くの企業ではお客様からのフィードバックは主にアンケート調査から得られるものに限られていました。これまではそれで十分だったかもしれませんが、デジタルトランスフォーメーションが世界的にお客様の行動様式や期待値に変化をもたらし、これまでの方法ではお客様の期待に答えることが難しくなってきました。

もはや過去を見つめるだけでは、変化する消費者行動や予測不可能な市場環境で先を行くための十分なインサイトを得ることはできません。オムニチャネルで体験シグナルを収集し、オムニチャネルでお客様をエンゲージしていくことが、顧客の行動、思考、意図、ニーズを理解し、卓越した体験を提供していく唯一の方法です。

現在のデジタルファーストの世界では、企業はカスタマージャーニーを横断して、直接的および間接的なフィードバック、運用データ、行動データなどの体験シグナルをリアルタイムで収集することが可能です。これらのインサイトは、解決すべき問題や、迅速な適応と改善の機会を特定するための警告シグナルとなります。

お客様が発するすべてのシグナルに耳を傾け、そこから学ぶことで、企業は現在進行中の体験を向上させるだけでなく、顧客が未来に期待することを予測し、競合企業の先を行くための方法を選択することができるのです。顧客体験管理プログラムが正しく機能すれば、ロイヤリティの向上、解約数の減少、収益の増加など、ビジネスに実質的な影響を与えることができます。

体験シグナルとは何か?

体験シグナルとは、さまざまなシステム、チャネル、社内システム、さらにはサードパーティのソースから得られる顧客体験データのことです。

シグナルの種類には、インターネット上の一連のクリック動作などの行動データ、Eコマース情報、POSデータ、コールセンターでのやりとり、CRMデータ、サービス利用時のやりとり、IoTデータ、HRデータ、ビデオから取得できる感情分析データ、セールス・マーケティング・ツールのデータ、さらにはアンケートデータなどがあります。

体験の全体像を把握する

さまざまな異なるソースから得られるシグナルを統合的に理解することで、それぞれのお客様がどのようにブランドを体験しているかを包括的に把握することができます。

データの種類

構造化データは、事前に設定された入力項目に対する定形の回答で構成されています。非構造化データとは、通話記録、チャットなどのログ、ウェブサイトのお問い合わせフォーム、レビューサイト上のコメントなど、さまざまな形式のフィードバックを含む非定形のデータです。

  • 構造化データ

  • 非構造化データ

間接的なフィードバック

お客様や従業員からフィードバックを収集するために用意されたチャネルとは別のソースから得られるフィードバック。

  • チャット

  • ソーシャル

  • 従業員

ダイレクトフィードバック

お客様や従業員が企業から意見を求められたときに、回答として提供するフィードバック。

  • Eメール

  • メッセージ

  • 音声

  • ビデオ

  • Webやアプリ

運用データ

取引と運用の相互作用で構成される、組織全体のさまざまな専門化されたシステムの記録としてのデータ。

  • CRM

  • ERP

  • HRIS

  • POS

行動観察データ

お客様の行動を理解したり推測したりするために利用する、お客様や従業員の行動をデータ化したもの。

  • IOTシグナル

  • 来訪パターン

  • イベントデータ

体験シグナルが多いほど、より深くお客様を理解できます。

ブランドに対するお客様の期待が進化し、スピードと柔軟性の向上が急務となっている今、体験管理の担当者は、お客様の目から見た自社の状況を真に理解するために、より幅広く、より多様な体験シグナルに注目しています。体験の全体像を把握し、自信を持って迅速に行動するために、ブランドがお客様のニーズを完全かつ包括的に把握することが、これまで以上に重要になっています。

統合されたプラットフォームの必要性 - 組織のサイロ化が体験シグナルの活用を困難にしています。

多くの企業では、体験シグナルが適切なタイミングや方法で活用されていません。その理由は、シグナルが複数の異なるシステムに散在し、実務的に使用可能なデータセットとして構造化されていないため、個々のお客様に適切に紐づいていないからです。実際、多くのシグナルは、顧客体験データ環境に接続されていない運用システムやサードパーティ・システムで発生しているため、組織にとっては見えない形で保存されています。

体験シグナルを活用してビジネスを前進させるには

01 すべての顧客データを利用する

体験データ、運用データ、行動データを記録システムやエンゲージメントシステム全体と統合することで、包括的なインサイトを得ることができます。シグナルを統合して観察することで、お客様が日々どのように行動しブランドに関わっているか(あるいは関わっていないか)、ということが理解できます。

例えば、CRMプラットフォームに記録されたデータを、他の運用データやWebサイト上の行動履歴データ観察などと組み合わせることで、新しいパターンを発見するだけでなく、解約のリスクを予測することができます。多様なシグナルを利用することで、行動をより適切に理解することができ、それが新たなインサイトやより深い顧客理解につながります。

02 お客様のニーズをリアルタイムで把握する

体験シグナルを利用してお客様のニーズを把握することで、問題解決を迅速に行うことができます。例えば、チャットやメッセージングなどのシグナルを取り入れることで、問題が発生した時点で解決できるようになります。速やかな問題解決に加えて、信頼性の高い顧客データとAIによる分析を取り入れることで、より豊かなインサイトと学びを得て、継続的に顧客体験プログラムを改善することができます。

消費者の70%が、苦情を申し出る際には即時対応を期待すると回答しています。

消費者の70%が、苦情を申し出る際には即時対応を期待すると回答しています。

[ { "type": "paragraph", "text": "Medallia Research, June 2018", "spans": [] } ]

03 いつでもどこでもお客様をエンゲージする

お客様の声に耳を傾け、必要な対応を迅速に行うことで、お客様のフィードバック提供に対する意欲を高めることができます。また、お客様の行動を観察することで、チャネルの好みを把握することができます。異なるソースからの多様なシグナルに注目することで、お客様のフィードバックの真の意味を理解し、その場で問題や機会を特定する方法を増やすことができます。

66%の消費者は、自分が利用するチャネルでフィードバックを提供できることを期待しています。

[ { "type": "paragraph", "text": "Medallia Customer Engagement Search, 2018", "spans": [] } ]

04 回答者だけでなく、すべての人を理解する

間接的な顧客フィードバックを収集することで、ブランドや製品、サービスについてどのように感じているか、すべてのお客様からインサイトを得ることができます。従来の顧客体験プログラムでは、主にアンケートデータを見て、時間をかけてアンケートに答えてくれた人だけを対象にフィードバックをまとめていました。このようなフィードバックは重要で価値のあるものですが、アンケートに回答しない人(おそらく大多数)を理解する機会を逃しています。

アンケートに回答してくださるお客様は、平均して18%です。

アンケートに回答してくださるお客様は、平均して18%です。

Medallia Benchmark, 2018

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05 フィードバックから新しいアイデアを見つける

次の大きなトレンドや革新的な製品のアイディアはお客様や従業員から生まれる可能性が高いと考えています。最前線にいる従業員は、日々お客様と接しています。両者からのシグナルに注意を向けることで、どうすれば自社のビジネス、製品、サービスにポジティブな影響を与えるようなことできるか、についてのインサイトを他社に先駆けて見つけることができます。企業は継続的に変化の方向性を予測し、一歩先の未来に適応することができます。

従業員とお客様の両方からクラウドソーシングでアイデアを集めることも、より早くアイデアを発見するための一つの選択肢になります。こうした方法で従業員のアイデアを活用することで、組織が提供している体験に顧客が何を期待しているのか、そして自分たちが気づいていない問題がないかをより詳細に把握することができます。

体験シグナルの活用を始めるには

シグナルを識別し収集する

さまざまな体験シグナルを特定し、顧客体験管理ソリューションにマッピングするために、エコシステムを見直してエンゲージメントの方法を見つけます。

  • カスタマージャーニーとライフサイクルを調べ、すべての重要な顧客接点を明らかにする。
  • ソーシャルメディアを含め、現在の体験シグナルをマッピングする。
  • 製品やデジタルシステムのデータ、サードパーティシステムからのIoTやAPIデータ、外部の顧客データなどから得られるシグナルが利用可能かを判断する。

体験シグナルを収集する際に理解すべき重要なコンセプトは、部署を横断してさまざまな形式のデータを行動に結びつくように使用するということです。つまり、プラットフォームは、顧客体験に関わる各担当者に最適化された方法でデータを分析・表示できる必要があります。AIと機械学習は、大規模なデータセットを分析し、効果的な行動を推奨する上で重要な役割を果たします。

信号の収集、分析、アクションの提案が自動化されれば、企業はそれぞれの顧客体験の最適化に集中することができます。これこそが、お客様の期待の先を行き、驚きと喜びに満ちた体験を生み出す鍵となるのです。

適切なプラットフォームの選択

顧客体験に最も効果的なアプローチをとるには、テクノロジー、プロセス、人材を適切に組み合わせる必要があります。あらゆるシグナルを収集するために、世界水準のスケーラブルなプラットフォームを採用することは、良いスタート地点となります。世界の1,000以上の主要ブランドが、Medalliaを利用して以下のことを行っています。

  • 何千ものファーストソースおよびサードパーティソースから幅広いシグナルを収集する
  • 何百万ものカスタマージャーニーを分析する
  • 業界をリードするAIと自動化を用いてインサイトを具体的な施策にする
  • 顧客中心主義のアプローチを可能にし、顧客接点を横断して、ブランドとして一貫した体験を提供する

体験シグナルを活用して顧客体験をポジティブに変えることで、消費者の行動の変化や予測不可能な市場の状況を先取りすることが可能になります。

デジタルトランスフォーメーションで顧客体験を変革する方法について、コンサルティングをご希望のお客様は、Medalliaまでお問い合わせください。